このページでは、長年の経験と実績により、 |
さて、まず屋根の役割、性質を把握しときましょう。
屋根とは? |
|
主要な屋根材 |
|
統計的なデータと食い違う場合もあるかもしれませんが、
長年屋根を見てきた者の感性のほうが正しいことも多々あります。
気候条件などは関東地方を基準に考えます。
古くから使用されてきて、実績と安心感と重厚感があります。
瓦屋根にしとけば間違いないだろうっていう安直な考えも
あながち間違いではないようです。
それが伝統であります。そして瓦の本来的な重さが、強風で飛ばされない
力を保持してるとともに、景観に重厚な趣を与えているのです。
しかし、その逆に制限が瓦屋根の特徴とも言えます。
まず、屋根勾配が制限されます。一般的にいって4.5/10以上で、
逆に8/10のような急勾配には向いていないといえます。
なぜなら、瓦屋根の取り付けは、瓦それ自体の重みを利用して
共にきれいに重なっているだけに近いので、
勾配が緩いと重ね部分から水を吸い上げる可能性が高くなるからです。
そしてその自重ゆえに瓦は、落下の危険性の多くなる急勾配での施工は
さけるべきなのです。もうひとつの制限は、屋根の形状にあります。
瓦は一枚一枚の大きさがおよそ決まっていますが、その寸法が屋根形状の
大きさの基準になり、しかも瓦自体を切断することは極力さけなければいけないので、
おのずと屋根の形状が制限されるのです。屋根の形状が複雑になると屋根に谷が
できる場合がありますが、屋根に何ケ所も谷を設けることは極力
さけなければいけません。瓦屋根の谷部分では、銅などの板金を使用する場合が
ほとんどですが、板金屋として何度もその部分の雨漏りの例を見ているので
その部分での雨漏りの危険性は、ひら部分の屋根の何倍も高くなるといえます。
(それは施工者ならだれでも知ってることですが、意外に一般の方は意識しません。)
ないでしょうか。その理由は上記の瓦における制限をおおむね解消しているからでしょう。
まず、屋根勾配は非常に自由になりました。およそ3.5/10勾配から垂直まで大丈夫でしょう。
それはカラーベストが、瓦にくらべてかなり軽いのと、取り付け方法が、瓦に比べて強度があるからでしょう。
(カラーベストは一枚横幅910mmのものの取付けに、純正の頭の大きなスクリュ-釘を4本使用します。)
また、薄い板の形状なので、切断が容易なので屋根の形状を選びません。谷などの納まりも、
瓦よりも薄いために隙間が少なくなり、吹き込みや谷のつまりも少ないと言えるでしょう。
しかも価格的には、瓦よりもかなり格安の品物から、安心して使えるようです。
しかし、万能に思える人工スレート化粧板屋根も欠点がいくつかあります。
欠点1. 表面の塗料が劣化すると漏水する場合がある。 欠点2. 取付け釘の上に重なるように施行する為、部分的にとりはずすことが難しい。 欠点3. 重ね部分が大きいため、改修塗装の場合重なった下の材は塗装できない。 欠点4. 重ね部は大きいが、緩勾配の場合、毛細管現象で漏水する場合がある。
4以外の欠点以外は、施工当初には表れません。老朽化するにしたがって問題になります。
カラーベストの最大の特徴は、重ねにあります。
下の絵は施工の順番になっていますが、いかに重ねが多いかがわかると思います。
瓦は重さでもち、カラーベストは重ねでもってると言えますが、
この重さと重ねがこの両方の屋根の最大の欠点となっていることは皮肉なことです。
でもまあ、欠点が最大の長所であるというのは、よくあるこのですね。
金属屋根の最大の特徴は、素材そのものの耐水性でしょう。瓦屋根でもカラーベストでも
谷など水が多く流れる場所には金属を使用するのが通常です。金属素材は、つなぎさえしっかり
していれば、素材への浸透性はほとんどゼロですから、大きな水量に耐えられます。
ですから、巨大な球場やホールなどの屋根はほとんどが金属屋根です。
住宅でも関東では震災以後大変多く金属屋根の家が見られました。
瓦棒屋根というタイプの屋根が大流行しました。それはとても緩い勾配でも施行可能で
しかも低価格で施工スピードもはやい高度成長の日本にもってこいの屋根でした。
しかし、この屋根にもやはり欠点がありました。見栄えにやや風格がないこと。それに
防音効果が少なく、雨音が大きく感じられることです。
瓦棒葺きの屋根はそういった要因で最近ではかなり施工例が減りましたが、
緩勾配の下屋根には今でもよく瓦棒を葺くことがあります。
さて、金属屋根は瓦棒葺きのほかにも数多くの工法がありますが、大きく分類すると
瓦棒のようなたて葺きと一文字葺きに代表されるよこ葺きです。
たて葺きは水の流れる方向と同じ方向に、長い屋根材を並べるように葺く工法です。
よこ葺きは決まった大きさの屋根材を軒先きから棟へと葺きあげてゆく工法で、神社仏閣の銅板屋根を
イメージしてもらえばわかりやすいです。
下の写真はたて葺きの例です。緩い勾配なのがおわかりでしょう。ドーム型の屋根にも適しています。
*
また大型の工場などに使用される折板屋根もたて葺き工法の仲間といえるでしょう。
この折板屋根は1/100の超緩勾配でも施工可能です。
下の写真は、瓦と銅板一文字葺きの屋根です。(鎌倉杉本寺庫裏)
妻側の局面部分は銅板仕事の腕の見せ所となります。
金属屋根を工法的な分類をしましたが、金属素材からも見てみましょう。
主に金属屋根の素材は、銅、ステンレス、アルミ、鋼鈑などですが、
銅以外は、それぞれ表面処理してあるものが普通です。
カラーステンレス、カラーアルミ、フッ素鋼鈑、ガルバリューム鋼鈑、カラー鉄板などと呼んでいます。
およそ価格の高い順番も上記のようになりますが、板の厚みでもまた価格は違います。
板の厚みは通常一文字葺きなどで0.27mmから0.5程度。
折板では0.6mmから1.0mm程度でが、材料の成形や工法に適した厚みがあります。
さて、そういうわけで金属屋根は、種類と素材が大変多くなりますので屋根形状に
比較的自由に対応し、軽量ですので広く大型建築に施行されていますが、
瓦棒以外は、一般住宅にはあまり使われていないようです。
それは、先程書いたような音の問題と化粧的な見栄えの問題、それに価格の問題でしょう。
音はウレタンのようなものを板材に裏打ちするなどで、若干改良されています。
見栄えに関しては、なんの損傷もないでしょう。グッドデザインの屋根材がどんどん出てきています。
価格が一番問題となりますが、住宅本体の寿命から素材を選び補修などのメンテナンスフリーの
素材を選べば、決して高いものではないかもしれません。
瓦は重さでもち、カラーベストは重ねでもつと言いましたが、
そういう言い方をするならば、金属屋根はハゼでもつといえます。
上の図は、たてひら葺きのハゼの例です。ハゼをもたない金属材料でも、はぜ形状の利点を利用した
構造がかなり見られます。水の侵入する経路を重力に反する方向に、しかも極めて小さくしてしまうことです。
建物に見られますが、職種的には屋根屋さんの仕事ではなく、防水屋さんの仕事になるのでここでは
省略させてもらいます。しかし、シングル葺きといい、見た感じがカラーベストなどと同じような感じに見え、
板状のアスファルトに砂で表面処理したようなこの屋根材は、当社でもよく手掛けておりますが、
アスファルトなどの柔軟な油製品を原料にしてる意味で、やはり防水屋さんの仕事範囲といえるかもしれません。
これはカラーベストに比べて緩勾配に対応できますが、老朽化にしたがって表面の砂が剥離したり、本体のはがれ
などが気になる屋根材ではあります。価格的には、カラーベストよりも一般に高くなります。
RCの建物の屋根には多く施行されているようです。
屋根葺き替えのご相談窓口のぺーじへ